船戸与一『薮枯らし純次』&吉永南央『紅雲町ものがたり』

映画のDVDみながら、読書ってのは出来ないので
南朋さん出演映画のDVDみるか、本読むか、の選択になるのですが
今週は読書の週末。




本日の読書。





船戸与一さんの『薮枯らし純次』読了。














舞台は鄙びた山奥の田舎町。
過去の怨念。
そして40年前の女性が町に起した醜聞。
そこで次々起こる死。


とくると、横溝正史、ですがまさにその横溝的世界に
ハードボイルドはいったような感覚というのか。



途中まで読んでて
横溝正史さんの『悪魔の手毬唄』じゃないけど
村に伝わる手毬唄かなんかで見立て殺人おこっても
おかしくないな、と思っていました。


横溝的な世界のミステリーというのは、
本作以外でもちょこちょこありますが
そんな中でもさすがによく出来てるというのか、
読ませます。


600P強、一気に読みました。


幕末・維新の頃の歴史の闇が今に引きずり
陰惨な事件の影になっていく、のですが
それがあきらかになってく過程もミステリーとして上手いし。


この小説、ラスト読むまで、もっと○○殺人事件、みたいな
ミステリー色出した方がいいんじゃないかと思ってたのですが
その装丁のイラストとタイトルはやっぱりこれじゃないと
ダメなのかもな、と思いました。


主人公は純次じゃないけど、純次、なんだよな、と・・・・。










引き続き。






吉永南央さんの『紅雲町ものがたり』読了。















紅雲町で、小蔵屋というコーヒー豆と和食器をうるお店をやってる
おばあちゃん、草が主人公の物語。



ここを舞台に周辺の人々におこる事件をといてゆく草の
探偵ものがたり。


これはすごく文章が上手い。
行間から人物がにじみでてくる造詣というのか。


著者もおばあちゃんじゃないかと思うくらい
この年頃の女性の心理を鮮やかに描写してるけど
プロフィールみたら40歳代みたいなんだよなぁ。
上手い。


人間の心理の複雑さも見事に描写していて新人とは
全く思えない。


草さんのもつ人間的な奥深さまでもを
その文章で浮き彫りにしてるのは見事。


この人の次の小説がすごく楽しみ。